創業者 故 牧誠の思い

Message - Founder

お客さんを喜ばせて自分もうれしい、
しかもお金ももらえる、という最高の自己実現を知ることができた ー
(原体験より)

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1978年 名古屋・大須のアメ横ラジオセンターのメルショップにて(中央:牧誠29歳)

喜びの原点

会社が初期の頃はOEM(相手先ブランドによる生産)をやりたくて仕方がなかった。なぜなら楽だから。でも、やらせてくれる会社がなかったか ら、仕方なくコンシューマをやるしかなかった。そこで、オーディオアンプを背負って、恥ずかしいから営業部長の名刺をもって全国のオーディオショッ プを回ったんだ。

 そしたら、“自分がこれがよい”と思っていたものと“お客さんがこれがよい”というものが違うことを思い知らされた。でも、そのふたつにそれほど差が ないこともわかった。だから、会社に帰ったらすぐにチューンナップして売ったよ。

それでお客さんが「そうそう、これが欲しかったの!!」と喜んで代金を受け取った時はうれしかったね ―

 舞台がパソコンに移った後はユーザーが無数にいるから、1つ1つの声をすべて聞くんじゃなくて、帰納的に抽象化して一般化したユーザー ニーズをさらに先読みして製品化する術を覚えた。

 今考えると、OEMをやらなかったのは結果として正解だったね、苦しい道だったけど。そのおかげで、お客さんを喜ばせて自分もうれしい、しかもお金ももらえる、という最高の自己実現を知ることができた。その原体験がメルコバリューの”顧客志向“につながっている。

(原体験より)

第三者の視点から捉えた牧誠

メルコグループ創業者

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牧 誠

まき まこと

 1948年4月、愛知県名古屋市に生まれる。早稲田大学大学院工学研究科 応用物理学修了後、アルバイト先の株式会社ジムテックに入社。その後名古屋に戻り、1975年5月、音響機器製造販売を目的とし個人経営のメルコを創業。設計、開発から製造、販売のすべてを一人でこなした。時には、自ら商品のオーディオアンプをライトバンに積んで自ら運転し売り歩いた。

 1978年8月にメルコ(現バッファロー)を設立し、社長に就任。社名は、Maki Engineering Laboratory Companyの頭文字を取ったもの。ブランド名「BUFFALO」の由来にもなったプリンタバッファやメルコの代名詞となったメモリを発売するなどして会社を急成長させ、1996年9月に東証・名証一部上場を果たす。その後、無線LAN製品やNAS製品など数多くの製品を投入し、PC周辺機器業界の発展に全力を尽くした。

 2003年10月に純粋持株会社メルコホールディングスを設立、「森の経営」と呼ぶグループ構想を打ち出し、「千年企業」への基盤を作り上げた。晩年は病と戦いながら、2014年6月に代表取締役会長に就任し長男である寛之氏へ社長のバトンを渡し、2017年10月に事業継承を完遂し代表権を返上した。2018年4月、メルコグループとしてバッファローに次ぐ大木であるシマダヤの子会社化を見届け、69歳で生涯の幕を閉じた。