#151 映像ディレクター 荻嶋 智

今のHDDの軽さ!小ささ!映像クリエイターだからこそこれで2TBって信じられないです

第151回目の@Professional Usersは映像ディレクターの荻嶋 智(おぎしま とも)さん。ケーブルTV局、ウェディングのカメラマン、そして映像の制作会社を経て26歳でフリーの映像ディレクターとなっていった荻嶋さん。女性映像クリエイターらしいアイデアと緻密なディレクションで今では人気のベネッセの幼児向け通信講座「こどもちゃれんじ」のDVDの制作も手掛けています。教材映像にダンスやアニメーションも取り入れ、多くの子どもたちが大好きになる作品を日々送り続けています。そんな荻嶋さんはクリエイティブでバッファローのポータブルハードディスク、ミニステーション HD-PUS2.0U3-SCを使用。映像の世界でどうバッファローのハードディスクが役立っているか、早速LAVAが東京・新宿区にある荻嶋さんのオフィスを訪れお話を伺いました。

プロクリエイターが選んだ商品

ポータブルハードディスク Mini Station

Creator's Profile

荻嶋 智(おぎしま とも)

1983年東京都生まれ。
20歳頃からケーブルテレビ会社で番組作りのアルバイト、結婚式のビデオカメラマンなどを経験。その後 制作会社に就職し、広告やイベント映像の制作に関わる。26歳でフリーランスになり、ドタバタと制作スタッフをしながら段々とディレクターでお仕事を頂けるように。現在はベネッセ「こどもちゃれんじ」の教材DVD、広告やミュージックビデオなどの企画演出を手がける。

Interview

高校1年生の文化祭で初めて自分で作った映像は、クラスの出し物としての映画でした

——映像ディレクターの荻嶋 智さんです。荻嶋さんが映像ディレクターになっていった経緯を順番に伺おうと思います。まず幼少期の頃のことを教えてください。

幼少の頃は絵を描いてばかりいました。漫画を描いて友達に読んでもらったりもしていましたね。ピアノと油絵を習っていて、高校ではバンド活動も。今の仕事でも、楽譜を読んだり絵コンテを描いたりするので役立っています。

——なるほど。学校では映像にまつわることはしなかったんですか?

高校1年生の文化祭で初めて映像を作りました。クラスの出し物として映画を作ろうってなったんです。タイトルは私の通っていた学校名を使った「豊多摩高校殺人事件」。撮影は誰かが持ってきた家庭用のビデオカメラで。編集は、たまたま高校の視聴覚室に編集ができる機械があったんですよ。

——わかる。なんか学校って驚くような代物があったりするよね。

そうなんです。こうやって後から音楽って入れられるんだとか、編集とはこういうことなのかって自分なりに感じながら作ったのを覚えています。 でも所詮高校のクラスの出し物。やる気のある人10%、協力的で手伝うよと言ってくれる人70%、残り20%はやりたくない人。それでもみんなでやらなきゃならない(笑)。その苦労の中で「もしやる気のある人ばかりで映画を作ったらどんな感じなんだろう?!」って思ったんです。それが映像の仕事に興味を持ったきっかけです。

——すでにプロデューサー意識が働いているところがすごいね。大学は?

2年間、美大を受験したんですがバイトばかりしていたせいであまり勉強しなかったので落ちてしまって(笑)。大阪芸術大学の通信教育部の映像学科に入学しました。大学に実際に行く「スクーリング」は夏休みの2週間ぐらいで、あとはレポート提出という通信のカリキュラムで勉強をしました。

——では昼間に映像のアルバイトをするというのはできたんですね。

はい、大学に入ってすぐに中野区のケーブルテレビ局でアルバイトを始めました。当時はカメラも編集機もまだデジタルじゃなかったですね。ケーブルテレビ局というと地域のニュースしか作っていないところも多いんですが、当時の中野ケーブルは、独自にお笑いライブ番組や、プロレス番組、子育て支援番組、音楽番組など、面白いものをたくさん作っていました。だから私はそこで技術的なノウハウだけでなく、アイデア作りの勉強もさせてもらったんです。

——なるほど。エネルギーのあるスタッフが多くいたんですね。それに中野ってもともとユニークな場所ですしね。荻嶋さんはその後結婚式場のカメラマンをやっていますね。

はい、毎週末様々な結婚式場にカメラを持って出向いて、式や披露宴の撮影をしました。ウェディングって映像の仕事の中でも特殊なものだと思うんですよ。他の多くの映像はできるだけたくさんの人に見てもらえるように作るものですが、ウェディングはオーダーメイド的で新郎新婦、ふたりのためだけに制作するので。 規模は最小、でも人生の一番大事な一日を記録する重大な役割です。幸せな現場ですしとても楽しくやりがいもあって、4年半ほどやっていました。ちなみにウェディングカメラマンは、毎週末ちゃんと仕事が入りやすいので、不安定な映像業界の中では安定した仕事と言えると思います。

例えば幼児向けの教材DVDは、子どもの記憶に残る大事な映像として一生懸命作っています

——もうその頃からクリエイティブはデジタルに移行していった感じですか?

そうですね。ノンリニアという編集が始まりました。それまではリニアというテープからテープにダビングする編集を行っていましたが、ノンリニアはパソコンで編集をします。ここでハードディスクとの初めての出会いもあります。当時は100GBから300GBぐらいのハードディスクを使っていましたね。ノンリニアになってからはデジタルですから尺の調整もスローモーションや色の変換等、加工や編集がかなり楽になりました。自分のイメージしたアイデアを簡単に組み込めるって素晴らしいことだなと思いました。それまで苦労して作っていましたからね。

——確かにその通りですね。レコーディングでも同じことがいえます。その後は?

ウェディングカメラマンの仕事はとても好きでしたが、やはりたくさんの人に見てもらえる映像にも関わりたいと思い、25歳の時に小さな制作会社に就職しました。モーターショー等のイベントで流す映像や、ミュージックビデオ等に関わりました。そこでは「プロダクションマネージャー」という役割で、撮影の段取りを考えたり、リサーチしたり、お弁当を発注したりするのが主な仕事でした。激務の日々でしたね。そこを辞めてからは次の就職先を探していたんですが、「これ手伝って」とか「これ一緒にやってみない?」、「こんな撮影あるから来て」と様々なところからフリーランスとして声をかけていただけるようになったんです。そのうちディレクターとしての案件も増え、今に至ります。運、そしてご縁のおかげです。

——現在荻嶋さんが手がけている映像コンテンツについて教えてください。

ベネッセの幼児向け通信講座「こどもちゃれんじ」の日本語と英語のDVD制作と、広告では化粧品や電化製品などの、ウェブや店頭用のPR映像をよくやらせていただいています。

——では荻嶋さんが手がけているクリエイティブをひとつ選んで、それが完成するまでのプロセスを教えてください。

はい、では「こどもちゃれんじ」のDVDができるまでをお話ししますね。私は主に2~3歳の英語の教材を担当しています。まず最初に教材を作っているクライアントの担当者と会います。クライアントの要望を聞く打ち合わせをオリエンテーション、訳してオリエンと私たちは呼んでいますが、そこでオリエンシートというものをもらいます。これはクライアントからの要望が書いてあるもので、例えばアニメーションを作って欲しい、ダンスを取り入れて欲しい、野菜をテーマにした2分のコーナーを作ってほしい等、年齢ごとの教材のカリキュラムに合った映像の依頼をもらいます。そして予算をベースに撮影プランを立てます。ダンスの場合はセットにするかバックは合成で行くか?ダンスではない場合はアニメか実写かコマ撮りか?メインのクリエイティブ自体から検討していきます。でも結構楽しい作業ですよ。どういう風に作ったら子どもたちが楽しめるかを真剣に考えますからね。その後ざっくりした企画書を出します。企画が通ったら、絵コンテにします。総勢30名ほどのチームで制作するので、みんなでイメージを共有できるようにわかりやすい絵コンテにしないといけません。

——幼少に油絵をやっていたことが本当に役立っているんですね。

本当にそうなんです。その後、英語のダンス曲であれば作曲家さんとネイティブの作詞家さんと打合せをして、音楽を作ります。そしてできた音楽に対して振付師さんと一緒に振付を考えます。自分も踊れるようにしておきます(笑)。このくらいのタイミングで美術さんとセットの打合せ、スタイリストさんとの衣装の打合せも行います。そして出演者とリハーサルをしてようやく撮影!という流れです。前回のダンス撮影はセットのもの3曲、グリーンバックの合成もの4曲、計7曲を2日間で撮りました。撮影が終わったら、編集して色の調整やテロップなどの加工をし、歌のレコーディング、声優さんのナレーション収録、効果音等を入れ、ようやく完成です。子どもたちの成長に少なからず影響を与えるものなので、責任を感じながら心を込めて作っています。ちっちゃい頃に見たものって大人になっても覚えていたりしますよね。少しでも記憶に残るような楽しいものを届けたいです。

今は簡単に映像が撮れるので、若いうちに自分の映像としてなんでもいいから作ってみることが大切

——素晴らしいクリエイティブです。確かに子どもの頃に触れた映像や音楽って良質であればあるほど一生残りますよね。ものを作り、教育としても作品としても個性あるものを子どもたちに発信する大切さを改めて感じました。ではパソコンの話をしましょう。まずは荻嶋さんのメインのパソコンと使用するソフトを教えてください。

メインのパソコンはMacBook Proです。スタジオでの作業が多い私は持ち運べるラップトップがメインになります。事務所でじっくり編集するときは、画面の大きなiMacを使っています。ソフトはPremiere、Final Cut、After Effects、Photoshop、Illustratorですね。パソコンで作業することは好きです。作る作業自体が私は好きなんです。編集の作業ってひとりきり。なのでどこまでもできちゃう。その向き合う感じが好きなんです。編集は仕上げ、ゴールに向かう作業です。ようやく全貌が見えて形になる瞬間が好きです。

——では現在荻嶋さんがご使用のバッファローのポータブルハードディスク、ミニステーション HD-PUS2.0U3-SCについてお聞かせください。

映像のクリエイティブに携わっている以上、ハードディスクはめちゃくちゃ使います。そしてめちゃくちゃ大切なものです。それなりに長く映像の世界にいるとハードディスクの変遷も見てきています。当然私も以前は大きく重たいハードディスクを多い時だと4台ぐらい持ち運んでいましたが、電源を取らないでいいっていう機能(※バスパワー)も最近だと思うんですけど、今ではまずこの軽さ!小ささ!時代は変わりましたね。これで2TBって信じられないです。これを見ると本当に以前のものは大きく重たかったなと思うんです(笑)。それに電源がいらないってありがたすぎです。すごいですよね。私の仕事の流れとして、撮影後は、編集のために必要な素材を全てハードディスクに入れて持って帰るわけですが、時には大きなハードディスクが何台も必要になってしまう場合もありました。もう本当に重くて大変なんです。でも今ではこの1台でいけます。当時のハードディスクに比べて大きさは半分どころか10分の1ぐらいになってますよね。でも容量は逆に2TBもある。何度も言いますが我々映像のクリエイターにとっては信じなれないんですよ、このハードディスクは。そして編集後はこのハードディスクに完成したデータを入れて編集スタジオに持っていきます。そこで最終の作業をして完成したものをまたここに入れて持って帰ります。なんと素晴らしいことでしょう!本当にありがたいです!色もシルバーでおしゃれで好きです。片手で持ててスマホサイズ。さすがのグッドデザイン賞受賞ですね。でも当然なんですがハードディスクって壊れると本当に困りますよね。なので頑丈なもの、壊れにくいものが我々プロには必要なんですが、バッファロー製品は以前から使用しているのでとても信頼をしています。以前ハードディスクが壊れて1時間番組の編集データが全部消えてしまったことがあります。2日間徹夜してやり直しましたがもうそんなことはごめんです。バッファローに切り替えてからは、もちろん問題無いです!

——ありがとうございます。これからもバッファローのハードディスクとともに荻嶋さんの映像がさらに世界中の人々、そして世界中の子どもたちに届くのを楽しみにしています。では最後に荻嶋さんのような映像ディレクターを目指している人たちにメッセージをお願いします。

若いときは、作りたいものがたくさんありました。でも19歳から仕事として映像に関わりこれが職業になったので、自主制作の映画を撮ったことがないんです。いくらでもやりたいことがあった時にもっといろんなものを作っておけばよかったと思っています。ゆくゆく見たら大したものではないかもしれないけど、その熱量を若いうちに表現しておくことは大事だと思います。今の時代は誰でも簡単に映像が撮れるので、若い人はなんでもいいから作ってみること。これは自分の作品ですと言えるものを今のうちに作ってみることが大切だと思います。

——今日はどうもありがとうございました。

Interview Photos

ここからは荻嶋さん自身に作品について話してもらいます。

「こどもちゃれんじの英語教材 ダンス “The Alphabet Song”です。ダンスは音楽、振り付け、衣装、美術セットを、それぞれのプロの皆さんと一緒にたくさん考えて作っています。」

「こどもちゃれんじの英語教材 “The Six Tots”です。アニメーションを作るときは、クライアントと打合せして、企画、脚本、画コンテ、を作り、アニメーターさんにお願いして作ってもらっています。」

「世界食料デー「のこりものがたり」です。世界の食料問題を考える、世界食料デーのWebサイト用動画。色々なものに目や口をつけてアニメーションでしゃべらせました。これはストローでブクブクしたものを、合成で消してます。」

「ナレーションをスタジオにて収録中の一コマです。」

過去に愛用されていたバッファローの外付けハードディスクを見せていただきました。これの他にももっと重たいHDDを4台も持ち歩いていたとか。映像クリエイターも大変なんですね。

そして!荻嶋さんご愛用のバッファローのミニステーション HD-PUS2.0U3-SCです。荻嶋さんがインタビューでもおっしゃっていたように確かに以前のものと比べると相当小さくなっているのがわかります。そして薄くもなってます。すべてが進化しているんですね。「今ではこの1台でいけます。当時のハードディスクに比べて大きさは半分どころか10分の1ぐらいになってますよね。でも容量は逆に2TBもある。何度も言いますが我々映像のクリエイターにとっては信じなれないんですよ、このハードディスクは。」そして荻嶋さんのMacBook Proとも相性、デザイン性、バッチリ合ってます!

作業中の荻嶋さん。すっきりとした気持ちの良さそうな仕事場で、さすが女性らしく丁寧に仕事をしていました。環境は大事だなと思わせる作業場でした。可愛い猫も2匹、彼女の周りをウロウロと歩きまわっておりました。のミニステーション HD-PUS2.0U3-SC、iMacともフィットしています。

お会いしたのは初めてなんですが、心にしっかりとビジョンを持った映像ディレクターだなと感じました。僕らの音楽もそうなんですが実は子ども向けのクリエイティブは作るのが難しい。ごまかしが実はききません。彼らはピュアで素直なのでこちらも大きなパワーとシンプルさで向かわないといけないんです。荻嶋さんはそういったこともしっかりと理解して、楽しく明るい、そして子どもたちの大事な未来を創り出す作品を作っています。これから幼児向けの教材を見る目が間違いなく変わりますね。僕も勉強になりました。

Creator's Favorite Foods

荻嶋 智の好きな料理“この一品!”「バターチキンカレー」

荻嶋さん曰く、「インドカレーが自分の食生活のルーティーンに入っています。自分には小川純子さんという映像の師匠がいるのですが、彼女はお肉を食べない。その彼女が南インドカレーを教えてくれました。バナナの葉っぱがお皿で、スプーンを使わずに右手で食べる野菜のカレーのイベントがあるんですよ。そのイベント以外でも、師匠とご飯を食べるとかなりの頻度でカレーになる。なのでカレーは外せない食事となりました。最近近所にできたアジアンレストラン&バー ニューサラティー。ここのカレーもとてもジューシーで美味しいです!」

今回登場した商品

ポータブルハードディスク Mini Station

本商品は、Macユーザー向けポータブルHDDです。出荷時よりMac OS X標準ファイルシステム「OS X拡張」(HFS+)にフォーマットされており、付属のUSBケーブルを使用すれば、すぐにMac環境でお使いいただけます。また「Time Machine」に対応し、データバックアップ用ドライブとしても使用可能。薄さわずか8.8mmのアルマイト加工を施したアルミニウム製筐体で、ノートPCと一緒にPCバッグに入れてもかさばらず持ち運びに便利。電源はUSBバスパワー駆動に対応し、ACアダプター不要で本体とケーブルだけで使えます。「ターボPC EX2」「バックアップユーティリティー」「ディスクフォーマッター2」「SecureLock Mobile」の各ソフトウェアが添付しています。