#124 江戸型染作家 小倉 充子

鉄筋ビル2フロアーでも快適 高速Wi-Fiルーターで仕事の効率も大幅にアップ

第124回目の@PROFEESSIONAL USERSは江戸型染作家の小倉 充子(おぐら みつこ)さん。デザインから型紙作り、染め、商品化してその販売に至るまで全て自身で手掛けるというマルチクリエイター。その色使いや、小倉さん独自のフィルターを通った江戸型染は美しいの一言。希有な染色界において人気の型染作家です。細かく繊細な手作業の多い工房にてバッファローのWi-Fiルーター WZR-1750DHP2が大活躍しているとのこと。早速LAVAが東京・半蔵門にある小倉さんの工房、「小倉染色図案工房」を訪れお話を伺いました。

プロクリエイターが選んだ商品

AOSS2 エアステーション ハイパワーGiga 11ac/n/a/g/b 1300+450Mbps 無線LAN親機

Creator's Profile

小倉 充子(おぐら みつこ)

1967年

東京神田生まれ

1994年

東京藝術大学大学院美術研究科デザイン専攻修了後、染色家 西耕三郎氏に師事。江戸文化、型染を学ぶ。

1997年

小倉染色図案工房として独立。浴衣、手拭い、下駄鼻緒、暖簾など型染作品の企画、制作。図案・型彫り・染色まで一貫しておこなう。

個展・企画展

横浜三渓園 / 日本橋三越 / ギャラリー + クック・ラボ como / ルーサイトギャラリー / IO Gallery / ギャラリー介 / 桃林堂画廊 / 青山スパイラル / 工芸ギャラリー手児奈

暖簾制作

日本橋よし町 / 手打ち蕎麦与之助 / 神保町 傳 / 赤坂きくよし / 奈良春日奥山 月日亭 他
落語、歌舞伎 楽屋暖簾

その他 制作物

福井高浜歌舞伎 手ぬぐい、のぼり
ネスレ日本「香味焙煎もてなし十景キャンペーン」手ぬぐい
日本橋百周年記念 三越手ぬぐい
日本橋三越オリジナルゆかた(2013年、2014年)
台東区浅草観光協会1F~7F タペストリーデザイン、オリジナル手ぬぐい
日本伝統音楽伝承協会 長唄NY 公演手ぬぐい 他

Interview

文様デザインは自分が探していた本物の匂いがしたんです

—— @PROFEESSIONAL USERSでは初登場となる江戸型染作家の小倉 充子さんです。そもそもこのクリエイティブを目指していった経緯を教えてください。

幼少の頃から美術系に進むことは揺るぎのないことでしたね。図工の授業を受けるために小学校に行っていたような子でした。3つ上の姉も絵を描くのが大好きでした。家の隣がタバコ屋さんでしたが、そこにある段ボールに日々絵を描いて過ごしていました。絵本作家や図工の先生になりたいって思っていましたね。そして中学になると学芸会をきっかけに舞台美術にも興味を持ちました。裏方の世界もいいなって。

—— 結果美大に行っていますね。

はい。高校時代は美大に通うために予備校に行きました。その予備校にいる人達が私には刺激的で、そこで真剣に絵を描くことを始めました。結果一浪して多摩美(多摩美術大学)のインテリア科に行くんですが、多摩美は私にはかっちりしすぎていて、もう少しアーティスティックなことを学びたかったので多摩美から芸大(東京藝術大学)のデザイン科を受けて再入学をしました。

—— 実は僕と小倉さんは年が同じなんですが、その頃ってちょうどバブルの時でしたよね?

そうですね。私は当時の日本という国に対して納得がいかず、でも、かといって自分は何ものにもなれず、あがいていた時期でした。この国の本物はピカソだけだと思っていました。ピカソに触れている時は本物の中にいると感じていたんです。

—— なるほど。なんか我々って見えない敵とよく戦う世代でしたよね。僕なんて当時は混沌としまくっていましたよ(笑)。それであがき続けてどうなったんですか?

大学の3年の時にコースが分かれるんですけれど、はじめは環境デザインコースに行くつもりでした。しかし最終的には形成デザインというあまり人気のないコースに行くことにしたんです。文様研究というとてもアカデミックで地味な勉強をするところでした。

—— どうしてそこに?

実はそのコースがある教室は校舎が違うところにあって、レンガ棟の建物で畳の部屋で勉強が出来るんです。それに魅かれました(笑)。というのもあったんですが私は環境デザインや立体には才能がないと感じていたんです。グラフィックか形成デザインのような、いわゆる平面のものが向いてるんじゃないかと。でもグラフィックはちょっと違うなと思い、形成デザインコースに進みました。文様のデザインは自分が探していた本物の匂いがして、そこから何かが見つかるのでは?と思えました。そして形成デザインを2年間勉強した後大学院に行き、そこではグラフィックを勉強しました。

先生の教え通り自分でやってみようと思い20年前に工房を作り、個展から始めました

—— 染色に触れたのはいつですか?

形成デザインを勉強している時に染色の先生が講義と実技を教えに来てくれました。そこで初めて染色というものを知り、正直「面白いな」と思いました。私はインスタレーションも作っていたので、染色もそこにはまると思い興味を持ちました。これから作品を作って行く上で染色という技術も使えると思ったんです。でも色々なことがまだ自分では分からないまま大学を卒業する日が来てしまったんです。多摩美を入れたら7年間在学し、気が付いたら27歳になっていました(笑)。

—— 就職先を探すよりも、もっと勉強してたかったんですよね?

その通りです。でも卒業なので働かないといけない。グラフィックデザイン科の他の人たちは企業やデザイン会社に就職していきましたが、私は企業デザインには興味はなかったので専門学校の非常勤講師のアルバイトを選びました。そして、そのアルバイトを始める前-卒業した春に、私の友達のお父さんの話を聞きました。その方は染色工場をやっていて、そこがもう古くなってきたから壊すという話です。だったら壊れる前に見たいと思った私はすぐに見学に行きました。そして工場に伺ってみると、友達のお父さんは芸大にも教えにきてくれていた方で、取り壊すという工場は江戸型染の工場だったんです。その1日で私のやりたいことが決定しました。

—— 江戸型染ですね。

はい。江戸型染の型紙をたくさん見せてもらい、「かっこいい!こんなかっこいいもの見たことない!」って強烈に感じました。そのお父さんに弟子にさせてください!といきなり頼んだんですが、工場もなくなるしお給料も払えないし弟子はいらないと言われてしまったんです。

—— タイミング悪かったね。

そうなんです。でも友達のお父さんは近所のおばさま達を集めて染色教室をしていたんです。私は非常勤講師のアルバイトをしながらそこに通おうと決心しました。最初はおばさま達と一緒に勉強をしていましたが、そのうちマンツーマンで教えてくれるようになりました。結局3年という、私には短いと思える期間しか教えてもらうことは出来なかったのですが、「これからの染色業界を考えると職人的なものや技術重視ではなく、オリジナリティーが大切。なので後は自分でやってみなさい」という言葉をいただきました。

—— なかなかいい言葉ですね。

素晴らしい先生でした。彼がいなかったら間違いなく今の自分はいませんね。そして先生の教え通り自分でやってみようと思い20年前に工房を作り、個展から始めました。

江戸時代のクリエイターやデザイナー達の想いやエネルギーを自分の中に取り入れて作っています

—— 小倉さんが手掛けている染色について教えてください。

現在手掛けているのは浴衣、手ぬぐい、下駄の鼻緒、のれん、木綿の反物や着物、小物などです。私の場合はデザインをして、型紙を彫って、染めて、商品にしてそれを販売します。本来ならデザインをする人、彫る人、染める人、売り出す人と細かく分かれます。着物業界でも染める人はデザインが弱いし、そこも分業化することが多いです。でも私はデザイン科出身なので逆にそれを売りにしています。正直染めはあまり上手くはありませんが、自分にしか出せない色を出せています。ただし手ぬぐいや浴衣などのある程度数を作るものに関しては工場に出しています。

—— デザインのモチーフはどんなものを使うんですか?

モチーフは全て江戸のものです。キセル、落語、歌舞伎など。色も江戸のものは渋いんです。それをシンプルに仕上げます。江戸の人はそれが粋だと思っていたんですね。昔からチャカチャカしたものは野暮だと考えていたようです。それと、私が生まれ育った所は江戸っぽい人々がいました。無意識のうちに江戸の生き様と私のいた環境がオーバーラップする部分もあったんです。

—— 江戸のものに居心地の良さを感じるっていいですね。それこそ粋な気がします。小倉さんの場合デザインなどで伝統的なもののクリエイティブに新しい感覚のものを取り入れていったりもするのでしょうか?

私は江戸にはまり染色を始めて20年ですが、作るものが変化していくというよりも、技術的には伝統的なんでしょうが、作っているものは全く新しいものだと思っています。江戸に対する私のリスペクトがそこにはあり、江戸時代のクリエイターやデザイナー達の想いやエネルギーを自分の中に取り入れて作っています。よくモチーフは江戸時代から使用していたものを模写しているんですか?と聞かれますが、そうではなく、そのモチーフを自分のフィルターの中に取り入れてデザインをしています。それで完成するものが私自身にとっても新しく新鮮なものであり、なによりも江戸型染作家としての大切な個性の部分だと思っています。

—— では、小倉さんのなにか作品が完成するまでのプロセスを教えてください。

浅草観光センターに依頼された手ぬぐいが出来るまでの話をしますね。ここは壁面のタペストリーを作ったので、その流れで販売用の手ぬぐいを作りました。まずラフのデザインを手描きで描きます。何パターンかを作って文化センターの人に見てもらい選んでもらいます。そしてOKをもらったデザインのものを紙に描いていきます。私の場合は下絵を元に木版を堀り、型紙の原画にします。その後最終的な下絵が完成します。そして型紙制作です。渋紙という柿渋を塗って防水した和紙に専用の刀で下絵を彫り、紗を塗って型紙が完成します。その後型紙を用いて篦で防染糊を置きます。そして染色の工程では染料を刷毛やヘラを使って染めます。その後、色を生地に定着させた後、水洗いで防染糊を落とします。防染糊を置いた部分は染まらないので、模様が白く抜けます。そして乾燥させて完成です。

—— なるほど。繊細かつ大胆、色味の上がり方も何度も何度もやって自分の体にその方法論が入っていく感じですね。なかなか興味深いプロセスです。これから小倉さんがやりたいことってありますか?

もっと江戸のものに近づいて、もっと面白いものを作っていきたいですね。もっと自由な着物も作りたいし、のれんを持って街にも出て行きたいし、歌舞伎の衣装も作ってみたいです。

—— 活躍を楽しみにしていますね。さて、工房ではパソコンも使用していますか?

はい、もちろん使用します。メインはiMacで、使用しているソフトは主にフォトショップです。作った原画をスキャンしてデータ化して取り込みます。そしてレイアウトしたり色味を付けてみたり、クライアントに見せるためのものもパソコン上で作ります。作品の全体のイメージをチェックするためにパソコンは重要なアイテムです。

—— 工房ではバッファローの無線LAN、Wi-Fiルーター WZR-1750DHP2を使用していますね。その理由を教えてください。

私よりもスタッフが詳しく話せるので、小倉染色図案工房スタッフの竹村 圭介さんに話してもらいますね。

(竹村) 以前はですね、auからレンタルしていた機器を使用していたんですが電波の飛びが悪く、つながりも弱かったんです。途中でぶちぶちと切れました。でもこのバッファローの無線LAN、Wi-Fiルーター WZR-1750DHP2に変えてからはすこぶる調子がいいです。安定して繋がりますし、速度も早い印象を受けますね。そして工房の3階と4階をこのWi-Fiルーターでカバーしています。実は昨日まで4階を使って展示会をしていたんですが、このWi-Fiルーターのおかげで展示会の販売コーナーではWi-FiモデルのiPad miniでレジアプリを使用したクレジット決済を安心してお客様にお薦めすることが出来ました。オフラインでも決済は出来るんですが信用調査が後回しになるため、サインや有効期限の確認など人間によるチェックが必要になり、忙しい時は不安ですし時間もとられます。なので3階に置いてあるWi-Fiルーターが完全に4階までカバーして安定したネット環境を常に作れるのは驚きでもあり、イベント時には大変役立っています。フロアーが分かれているのにレジアプリが使用出来るんですから凄いですよ。上の階は上で回線引いて、下は下で引いて、なんてやっていると余計な経費もかかりますしね。でもこの1台でとっても便利になりましたし、気が楽にもなりました。スペックもいいし、速いんですよね。鉄筋ビルの2フロアーで使えるんだからこれは凄いです!それにこのビルのある地域はもともと電波が弱いんです。でもこのWi-Fiルーターのおかげでどこでも繋がるようになったので、3階や4階のどこで制作の仕事をしていても、iPhoneやiPadで急ぎのメールやメッセージのチェック、ネットでの調べものが気軽に出来ますね。いちいちデスクに戻る必要はなくなるわけです。2フロアーだとそういうことが本当に便利です。あとはデザインも好きです。シンプルでかっこいいですよね。それと単純なことでもあるんですが、この横にも縦にも置けるのもいいと思うんです。地震が来たりすることを考えると横にして置いていた方が倒れにくいですからね。そういったバッファローのキメの細かさも好きですね。

—— ありがとうございます。鉄筋に負けないバッファローのWi-Fiルーター。これからもお役立てください。では最後に江戸型染作家になりたいという人達に小倉さんからメッセージをお願いします。

決して上がっていく業界ではないので、みんなおいでよ!と大声では言えないんですが、割に合うとか合わないとかを抜きに考えて立ち向かって来て欲しいです。私は人は好きなことをやっていれさえすればなんとかなると思っています。生活も。そこまで思わなければなりたいものにはなれないと思うんです。そう考えられる若者達を本当に私は欲しています。広げて繋げていくというこの仕事は本当に楽しいですよ。

——今日はどうもありがとうございました。

Interview Photos

小倉さんの工房、「小倉染色図案工房」にて撮影したインタビュー中にもあった浅草観光センターの手ぬぐいの型紙の原画です。こういう所に来ると僕は興奮します。ものが出来上がるまでのプロセスっていいですよね。完成品はもちろん原画も美しかったです。

ここからは小倉さんの作品です。彼女にひとつひとつコメントしてもらいます。「柳橋の料亭で大川を眺めながら一献かたむけける夏の風景をきものの背に。」

「大蛸が絡みながら引っ張り合う「ひっぱり蛸」。人気者になる手ぬぐい。」

「右足に大きな両国の花火、左足には大川に浮かぶ舟や両国橋から花火見物をする人々を型染めした花緒。」

「鳥越近くのこだわりの蕎麦屋の暖簾。ひと目でなに屋かわかります。」

「浅草文化観光センターの1階~7階各フロアに台東区にちなんだデザインのタペストリーを制作。お花見や花火など四季の変化に合わせて変わります。」

鉄筋ビルの2フロアーで使えるんだからこれは凄い!と大絶賛のバッファローのWi-Fiルーター WZR-1750DHP2。電波の良さだけではなく、スピード、利便性、仕事効率のアップ、そしてデザインまで全てパーフェクトとおっしゃってくれました。もはやこのLANは一家に一台、クリエイターにも1台になってきましたね。

僕は小倉さんのクリエイティブでパソコンはどう活躍しているのかなと思っていましたが、やはりしっかり使っていましたね。この姿でパソコン仕事もなかなか雰囲気があっていいですね。

江戸型染作家という僕も聞き慣れないクリエイティブではありましたが、話を聞いているうちにとても興味を持つようになりました。「技術的には伝統的なんでしょうが、作っているものは全く新しいものだと思っています。」ものを作っていく上での大切な「自由度」が小倉さんの世界にはあるんですよね。伝統と遊び心、このふたつが交わった時にさらに美しく、心に残る作品が出来上がっていきます。さらに自由に!小倉さん、期待しています!

Creator's Favorite Foods

小倉 充子の好きな料理 “この一品!”「蕎麦小路さわらびの(冷)鴨々せいろ」

小倉さん曰く、「今いる工房に移ってきたのが最近なのですが、新しい地に来ると私はまずお蕎麦屋さんを探すほど大の蕎麦好きです。さわらびさんのお蕎麦は絶品!手打ちのお蕎麦もクセになります。是非みなさん、訪れてみてください!」

今回登場した商品

AOSS2 エアステーション ハイパワーGiga 11ac/n/a/g/b 1300+450Mbps 無線LAN親機

大容量の転送に優れ、映像の転送に最適な規格、11acに正式対応した無線LAN親機のハイスペックモデル。スマートフォンのWi-Fiスピードを高速化する「ビームフォーミングEX」技術に対応し、これまで電波が届きにくかった場所でもスマートフォンを使って快適にWi-Fiインターネットが利用可能。またスマートフォンだけでWi-Fiとインターネット回線の初期設定ができる“AOSS2”を搭載。簡単にインターネットを始めることができます。