デジタルフォト・アルバム「おもいでばこ」が写真を楽しむだけでなく、日常業務にも大活躍。スマホ・デジカメ写真を、簡単ひとまとめ化でみんなの記憶をつなぐ。

ユアハウス弥生 様

ケアワーク弥生 介護部長代理 介護支援専門員 兼 ユアハウス弥生 所長 飯塚裕久氏

ケアワーク弥生が運営する「ユアハウス弥生」様は、介護が必要となった認知症の方へ“通い”を中心に、宿泊のサービスを提供する小規模多機能型居宅介護事業所です。認知症の方が健やかに過ごすためには“思い出す”という行為が重要で、“写真”がとても大切だそうです。「おもいでばこ」を導入したことで、皆さんが気軽に日々の写真を楽しめるようになりました。

概要

地域密着型“通い”中心の小規模多機能型居宅介護サービス

サポートを受けつつ自分のリズムで自由に過ごせる

「見る・触る・食べる・聞く・嗅ぐ」五感を刺激して脳を活性化

「小規模多機能型居宅介護」サービス

「小規模多機能型居宅介護」とは、2000年の介護保険制度改正によって創設された、地域密着型の介護サービスの1つです。介護が必要な認知症の方が、人間関係や生活環境をできるかぎり維持できるように、“通い”を中心に“訪問”“宿泊”の3つの介護サービスを提供します。

ユアハウス弥生は、小規模多機能型居宅介護サービスを提供する施設です。利用者が一日でも長く住み慣れた自宅で健やかに過ごせるように、日々の生活サポートやさまざまなイベントを提供しています。現在は、法制度限度の最大数である25名の登録利用者を、常勤・非常勤含めて21名のスタッフでケアしています。

利用者に人生を提供したい

高齢化社会を迎えた日本では、高齢になることで、身体の自由が利かなくなり、結果外出の機会や意欲を失い、自宅に閉じこもるという現象が起きています。さらに、認知症を発症してしまうと、介護老人福祉施設へ入所せざるを得ず、同じように閉じこもることになる方も多いそうです。

しかし、人の生活は人との交わり、社会への参加で成り立っており、これが失われると、急速に認知症状が進んでしまいます。
ユアハウス弥生の所長を務める飯塚裕久氏は「私たちは、認知症の方々に人生を提供したい。“閉じこもり”から開放し、これまでどおりの生活や人とのつながりを提供したいと考えています」と、運営理念を語っています。

脳を活性化するための様々な取り組み

「認知症は、簡単に言えば脳が弱っていく疾患のことです。そのため、外的な刺激で脳を働かせることが非常に重要だと考えています」(飯塚氏)

そこでユアハウス弥生では、食事やハイキングなどのイベント、写真、音楽、アロマ、タッチングケアなどを活用して、利用者が見る・触る・食べる・聞く・嗅ぐといった行為を自然に行えるように工夫しています。
日常では、利用者の皆さんで献立を考えて食事を作ったり、施設に近い上野の不忍池へ散歩に出向いたり。季節ごとに、お花見や初詣、鎌倉あじさいツアーなどを企画しています。

株式会社ケアワーク弥生

創業60年の歴史を持つ同社は、東京都文京区の弥生・千駄木、千代田区飯田橋の施設・事業所で延べ800人の利用者に、居宅介護支援・訪問介護などの介護サービスを提供しています。できるだけ長く、住み慣れた自宅や地域で健やかに過ごしていただきたいという思いから、居住型の介護サービスは提供していません。小規模多機能型居宅介護サービスとして、ユアハウス弥生を運営しています。

所在地

東京都文京区弥生2-15-13

電話

03-3811-1039(代表)

目標・課題

写真を使って記憶を呼び覚ます取組み。

パソコンが故障するほど大量の写真を保存

検索できないため利用もままならない状態

写真活用の取組みで“ケアの質”を一段高く

ユアハウス弥生では、スタッフが日々の生活やイベントの写真を撮影して、利用者と一緒に写真を見ながら思い出を楽しんだり、アルバムにまとめて家族へ提供したりしています。
「写真を使って記憶を呼び覚ますという行為は、強く脳を刺激します。また、介護の状況を把握するには、利用者の普段の表情や仕草を記録することも重要です。そのため、利用者の日々の生活を撮影して記録することは、非常に重要な介護業務の1つです。そして写真を活用することで、一段高いケアを提供できるようになりました」

また、介護業務の報告書や引き継ぎ書類、家族へのフィードバック、地域の運営推進会議などでも写真を活用しています。
「私は所長として、利用者一人一人の介護状況を把握する必要があります。報告書で『○○さんは楽しそうでした』という文章を読むより、楽しそうに笑っている写真を見せてもらったほうが、ずっとわかりやすいですからね」

画像データが大量となり、探せない事態に

介護業務に写真を活用し始めたのは、2007年頃からで、当初はスタッフらがデジタルカメラを使って写真を撮影し、カードリーダーを介してパソコンに保存。画像ファイルに1つ1つ名称を付けて管理していました。しかし数ヶ月後には、イベントや利用者ごとにフォルダ分けをするのが精一杯になり、ファイル名はデジカメで撮影したままとなっていました。
「しっかり管理できていないので、報告書やアルバムに添付する画像を探すのも一苦労でした。利用者と楽しむためのアルバム素材作りにも時間と手間が掛かるようになりました。それでも、写真は撮り続けていましたので、パソコンとNAS内には、整理が不十分なままですが、写真データがどんどん溜まっていきました。」
ついにはパソコンがハードディスクの容量不足から不調に陥ったほどだとか。
「メモリカードから直接写真をプリントできる機器を導入してみたのですが、プリント後にパソコンに写真を保存しないまま、写真データを消してしまうようになってしまいました。これでは、あとでほかの用途にその写真を活用することができません」

写真は、日々の利用者のケアやスタッフの業務にも、非常に有用であることはわかっていますので、写真データを保管しながらも、利用者やスタッフらが気軽に写真を使えるようにできないかと。手軽に使える安価な機器を探していました。

解決策

「おもいでばこ」をメインルームに設置

無線LANを活用してパソコンやスマホと連携

スマートフォンアプリや重複除外機能で写真の取り込みもラクラク

導入商品

デジタルフォト・アルバム

大量の写真を勝手に整理してくれる機器?

飯塚氏が「おもいでばこ」に出会ったのは、2013年の夏ごろで介護業界の知人から、よい機器があると紹介されました。
「写真を記録するのも見るのも簡単だし、自動で写真を整理してくれるとも聞きました。最大12万枚という大量の写真データを保存できるという点も魅力で安価でした。そこで私がやりたいことができそうだということで、まずは試してみようということになりました」

ユアハウス弥生では、事務所が地階にありますが、無線LAN親機の中継機能を使い他のフロアーとネットワークを接続しており、これにより何処からでもパソコンやスマートフォンから「おもいでばこ」に無線LANでアクセスできます。
「おもいでばこは、無線接続に対応しているのでLANケーブルを敷設する必要がないですし、コンパクトなので設置場所にも困りません」

パソコンの写真も、ネットワークで「おもいでばこ」へ

飯塚氏は、「おもいでばこ」を設置すると、早速パソコンから写真データを移す作業にとりかかりました。「おもいでばこ」には、写真を取り込んだり書き出したりするツール(無償)が用意されており、簡単に写真データを移行することができます。
「ツールを使って、はじめに3,300枚ほどの写真を移しました。操作が簡単で悩むことはありませんでした。まだまだ写真データがあるので、引き続き移していきます。」

報告書や引き継ぎ資料などのドキュメントを作成する際には、「おもいでばこ」の写真データをパソコンへ書き出していますが、日付ごとに整理されているので、使いたい写真データを簡単に探して書き出すことができます。

デジカメやスマートフォンの写真も簡単取り込み

「おもいでばこ」には、SDカードリーダーやUSB端子も搭載されているので、デジカメやフィーチャーフォンで撮影した場合でも、メモリカードを差し込む等で、簡単に取り込むことができます。
「最近は、スマートフォンを持つスタッフが増えており、手軽に写真を撮影するようになりました。しかし、スタッフが持つスマートフォンの写真を、事務所のパソコンに個別に写真を取り込むというのはなかなか難しく、スマートフォンの小さな画面で写真を見せ合うということがほとんどでした」

「おもいでばこ」には、iPhone/iPadやAndroidに対応したアプリ(無償)が提供されており、スマートフォンから移したい写真をタッチ操作で選択的に選ぶだけで簡単に写真を取り込むことができます。
「当施設では10代から70代まで幅広い年齢層のスタッフが所属していますが、若いスタッフだけでなく、高年齢のスタッフでも簡単に扱えることから散歩やイベントから帰ってきたら、すぐに写真を“おもいでばこ”に取り込むことが日常になりました」

飯塚氏が特に気に入っているのが「重複検知」の機能です。特にパソコンの中では、コピー&ペーストを繰り返すうちに、同じデータがいくつも保存されていることがよくあり、またスマートフォンから、どこまで取り込んだかわからなくなってしまうケースもあります。
「気軽に写真を移しても、無駄な写真が重複して増えないのがイイですね。実際、パソコンの中には何枚も同じデータがありましたから、重要な機能だと思います」

効果

利用者もスタッフも楽しく写真を活用

日々の書類代わりに写真で報告

家族への報告会などで「おもいでばこ」を活用

写真を活用したケアサービスが格段に向上

利用者の集まるメインルームでは、頻繁にスライドショーを映しています。スタッフが映写を開始すると、自然と利用者が集まって、思い出話に花を咲かせています。みんなでお弁当を作って公園へ出かけた写真などが表示されると、「○○さん、おいしそうね!」などと、手を叩いて笑いあっています。

付属のリモコンは、だれでも手軽に使えるように工夫されており、画面に表示されるメニューも簡単ですので、パソコンに不慣れなスタッフや利用者も気軽に使えると評判です。写真を活用する機会が増えたため、撮影枚数もまた増えてきています。

「どこへ行った、何を食べたなどという記憶は、話で聞くより写真で見たほうが強く呼び覚まされます。時には、画像に写っていない記憶も回帰することができます。以前に比べて、写真を活用したケアが格段によくなったと実感しています」

日々の業務報告に「おもいでばこ」をフル活用

「おもいでばこ」は、利用者のケアだけでなく、日々の業務報告にも活用されています。散歩やイベントなどで撮った写真をテレビに映して、スタッフとミーティングを行っています。
「以前は報告書類を作成して写真を貼り付けていたのですが、非常に面倒で、不慣れだと長時間かかってしまいます。それよりも、テレビでその時の写真を見ながら報告を受けたほうが、ずっと効果的ですし、時間もかからない。報告書を書くのに手間取るくらいであれば、その時間をほかのことに活用すべきです」

もちろん書類がなくなったわけではなく、月次報告書は義務付けられています。しかし、「おもいでばこ」に写真データが整理されているので、従来よりもずっと短時間で作成できるようになったそうです。
「私がずっとやりたかった“写真中心の報告書”が、「おもいでばこ」で実現できました。同じ作成時間で、ずっと質のよい書類ができます。サービスだけでなく、業務の質も向上しました」

家族への報告会や地域の会議でも活躍

ユアハウス弥生では、定期的に「家族会」を開き、利用者のご家族へ介護状況をフィードバックしています。この会は、近くの公民館を借りて開催していますが、おもいで「おもいでばこ」持って行って使っているそうです。
「ご家族への報告も、紙の資料だけでは不十分です。「おもいでばこ」はコンパクトで持ち運びやすく、テレビに繋げばすぐに写真を見ることができます。たくさんの写真を手軽に見られるので、わかりやすいと好評です」

また飯塚氏は、地域の会合や役所への報告などでも、「おもいでばこ」をフル活用しています。手軽に写真を探せるため、スタッフの報告書と同様に、資料の質も向上しているとのことです。
「私は、こうした“写真活用ケア”の仕組みを介護業界に広めたいと思っています。写真や動画で情報を共有することで、介護スタッフの教育・研修や人事にも活用できるでしょう。「おもいでばこ」は、安価なので小規模な介護施設でも導入しやすく、ITに不慣れでも手軽に使うことができる最高のツールです」


取材後記

取材の際にも、利用者とスタッフの方が集まりスライドショーを楽しんでおり、皆さんが笑顔で思い出を語っていたのが印象的でした。ユアハウス弥生さまでは、「おもいでばこ」を楽しむだけでなく、業務にも活用しているのがポイントです。こちらのような介護の分野ではなくても、写真を利用するシーンが業務で発生しているケースでは、工夫次第で、さまざまなビジネスシーンで「おもいでばこ」を活用出来るのではないでしょうか。
※おもいでばこの新モデル「PD-100S/W」 では、スマートフォンから、おもいでばこの中の写真を直接閲覧して、取り出せるようになりました。より、ユアハウス様のような、撮影した写真を取り込んで利活用する業務では、より活用シーンが広がるのではないでしょうか。


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