大切なデータを失わないために。
HDDの故障を予測するという新しい発想。
── 「みまもり合図」はHDDにいつか訪れる故障を予測してユーザーにお知らせするという他に類を見ないサービスです。 開発の背景を教えていただけますか?
川瀬:市販されているHDDの容量は年々増え続け、現在ではコアなPCユーザーでなくとも2TBや3TBのHDDを利用することは珍しくありません。これだけの大容量となると、HDDの全容量を使い切ることなく機器が劣化して故障してしまう可能性が高くなります。HDDは内部のディスクを磁気ヘッドで読み取るという構造です。物理的な衝撃が加わるとヘッドが歪んだりディスクが傷つくなどで故障の原因となります。また、HDDに使用されている「磁気ヘッド」「プラッター(磁気ディスク)」「スピンドルモーター」「ステッピングモーター」等は、有寿命部品です。HDDの故障は使用環境によって早くも遅くもなりますが、劣化の蓄積により「いつか必ず訪れる」ものなんです。 データ復旧サービスもありますが、それは最後の手段であり100%復旧できる保証はありません。万が一の際には、大切なデータが消失してしまうことになるわけです。「みまもり合図」はそうした状況を回避するためのサービスです。
── 具体的にはどのような仕組みで故障を予測するのでしょうか。
大野:HDDが故障するまでには、データ読み取り・書き込みの異常、ディスクやヘッドの動作異常、長期間の稼働による経年劣化や発熱、不良セクターの発生などいくつもの前兆があります。HDDには、「S.M.A.R.T.※」という、HDDが自ら状態を診断する機能が搭載されています。その診断情報を自動的にクラウドにアップロードし、判定することで、ユーザーはHDDがどの程度まで劣化しているかを知ることができます。そうすることで、故障する前にバックアップやHDDの買い替えなどデータ消失への対策をとることができるというわけです。また、窓口にお問い合わせいただければ、HDDの状態を確認してバックアップのサポートをしたり、買い替えのご案内をしたりといったサポートを行います。
── サポート窓口への問い合わせは一部を除いて基本的に無料とのことですが。
川瀬:HDDの低価格化により、さまざまなお客様が大容量のHDDを利用されるようになりました。ユーザーはPCに詳しい方ばかりではなく、HDDがいつか故障するということをご存知でない方もいらっしゃいます。「みまもり合図」はそうした方々がご家族との思い出の写真をはじめとした「かけがえのないデータ」を失うことを予防すると同時に、バックアップをとるという習慣を啓発するためのツールでもあるんです。データの移行を代行した場合など有償となるサービスもありますが、基本を無料としているのはなるべく多くの方に万が一の悲劇を回避していただきたいからなんです。
── 具体的な利用のフローを教えていただけますか。
川瀬:「みまもり合図」のソフトウェアをダウンロードしてインストール、あとは起動するだけ。必要な手順はこれだけです。複雑なアカウント登録等は一切不要で、機種にもよりますが既にお持ちのHDDにも対応します。あとは劣化の度合いに合わせてA、B、C、D、Fの5段階でHDDの健康状態が表示されますので、アラートに即した対応策をとることでデータ消失のリスクを大幅に軽減することが可能です。劣化の度合いが高いD、Fのランクではサポート窓口のご案内と共にお客様番号が通知されます。PCに詳しくない方でもサポート窓口にお客様番号を伝えれば適切なサポートを受けることができます。
── 開発にあたっての苦労はどのようなものでしたか?
大野:アラートのランク設定を適切なバランスにすることには気を使いましたね。やみくもに「バックアップを取ってください」「買い替えてください」と促すのではなく、過去の膨大なデータを参照しながら、HDDがどのような状態であれば故障のリスクが高まるのかを丹念にリサーチしながらランクを設定していきました。「みまもり合図」は買い替え促進のためのツールではなく、あくまでリスク回避のためのツールですから、信用されなくては意味がありません。社内で何度も検討を重ねて洗い出した設定ですので、信憑性には自信があります。ぜひユーザーのみなさまには「みまもり合図」を信じて対策をとっていただきたいです。
川瀬:「かけがえのないデータをなんとしても守りたい」という姿勢はバッファローのDNAとも言えるものです。「みまもり合図」は他に類を見ないまったく新しいサービスですが、結果的に非常に「バッファローらしい」サービスに仕上がったと自負していますよ。